Vol.1
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ほととぎす
求肥製・大徳寺納豆入り
白こしあん
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初夏に渡ってくるほととぎすは、詩歌にもよく詠まれています。夏を告げるこの声を聴くことを昔の人はとても大切にしたようです。確かに「てっぺんかけたか」とも聞こえる声はよく通り、少し丸みを帯びているように感じます。
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青嵐
煉り切り製・小豆こしあん
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瑞々しい青葉若葉を揺らしながら強くまた弱く吹き渡る風。その通り道が見えるかのように生い茂る枝をかき分け、うねりながら初夏の風は走り抜けます。
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氷室
葛製・白こしあん
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今では想像もできないほど夏まで氷を保存することは大変なこと。貴重さゆえに氷室の氷を口にすると夏負けをしないといわれたとか。時代とともに、日本書紀の頃から記録に残る氷室も数えるほどになってしまったようです。
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風の音
上用製・小豆こしあん
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たとえ猛暑の中でも風は風鈴を揺らして澄んだ音を響かせます。冷房などもない時代、風が吹いた証を耳にするだけでも汗が引く思いがしたでしょう。
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木陰の水
錦玉製
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夏の厳しい日差しも枝を広げる木々の傍では遮られ、なかなか地面までは届きません。そんな少しひんやりと感じる木陰の小さな流れや池の水は、ひときわ色も青く透明で涼やかに感じます。
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花むくげ
煉り切り製・小豆こしあん
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薄紙細工の花のように頼りなげに見える木槿ですが、息をするのも苦しいような暑さの中でもひとつまたひとつと花を開きます。白、うすべに、淡紫、どの色も力の限り生きようとしています。
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